ハワイアンジュエリーの歴史と込められた意味
ハワイの自然をイメージさせるモチーフが彫刻された繊細なデザインが特徴のハワイアンジュエリーは、ファッションアイテムとして、またギフトやお守りとして、多くの人に愛されています。
ハワイアンジュエリーの持つ歴史やジュエリーに込められた意味などをご紹介します。
■ハワイアンジュエリーとは
ハワイアンジュエリーは、150年以上の長い歴史を持つ、ハワイの伝統的なジュエリーを意味します。
正式には「ハワイアン・エアルーム・ジュエリー」と呼ばれており、ハワイの自然からインスパイアされたモチーフを彫刻したデザインが特徴です。
ハワイを象徴するような美しい花々や波の模様、美しいビーチを思い出させるヤシの木など、南国を思わせる雰囲気が広く人気を集めています。
ハワイアンジュエリーはハワイ王家の伝統を受け継ぐものであり、モチーフにはひとつひとつ違うポジティブな意味が込められていて、ファッションアイテムとしてはもちろんお守りや気持ちのこもったギフトとしても愛されています。
■ハワイアンジュエリーのルーツ
ハワイアンジュエリーのルーツは、17世紀の後半にイギリスで人気だった「センチメンタルジュエリー」にあるといわれています。
センチメンタルジュエリーとは、友人や家族など親しい人への愛の言葉や追悼する思い、思い出に残っている言葉を刻んだゴールドジュエリーです。
このセンチメンタルジュエリーの流行は一度落ち着きますが、19世紀にもう一度人気を集めはじめます。
ハワイアンジュエリーの起源はこの19世紀、センチメンタルジュエリーが流行していたイギリスの王室と親交の深かったハワイの女王リリウオカラニにあります。
■リリウオカラニ女王からはじまるハワイアンジュエリーの歴史
19世紀のイギリス王室では、夫であるアルバート公を亡くしたヴィクトリア女王が、夫の死を悼み黒い喪服を身に着けて過ごしていました。
ヴィクトリア女王は夫の死後生涯黒い喪服のみを着用していたため、黒い衣服に似合う黒いエナメルが用いられたジュエリーが考案され、喪に服し続ける女王の姿に感銘を受けた市民にもこのスタイルのジュエリーが流行するようになりました。
当時ヴィクトリア女王が身に着けていたスタイルのジュエリーは「ヴィクトリアン・モーニング・ジュエリー」と呼ばれ、最初は哀悼の念を示すシンボリックなジュエリーとして、その後はアイコニックなファッションアイテムのひとつとして広まっていったのです。
イギリス王室と親交の深かったハワイ王朝のリリウオカラニ女王もまた、アルバート公の死を深く悼んだ人物のひとりでした。
彼女は追悼の思いを込めて、ヴィクトリア女王が喪服に合わせて身に着けていたヴィクトリアン・モーニング・ジュエリーのスタイルに似せたゴールドのバングルをつくらせ、自身も生涯身に着けて過ごしたといいます。
このバングルには、黒のエナメルで「永遠なる思い出」という意味の「HO’OMANAO’MAU(ホオマナオ・マウ)」という言葉が刻まれていました。
想いのこもったジュエリーであるハワイアンジュエリーは、このリリウオカラニのバングルを端緒として生まれたとされています。
そしてリリウオカラニには、ヴィクトリア女王から真のヴィクトリアン・モーニング・ジュエリーが贈られたこともありました。
リリウオカラニは、ヴィクトリア女王の即位50年祭に出席した際、ゴールドに黒のエナメルで装飾が施され、オールドイングリッシュで自身の名前の彫られたブレスレットをプレゼントされます。
このブレスレットをリリウオカラニは大層気に入り、ハワイの宝石商に同じスタイルのアクセサリーをたくさんつくらせました。
宝石商や女王の身に着けるジュエリーを見たハワイの人々は、これまでハワイでは見たことのない革新的なデザインにすっかり魅了されたのだそう。
リリウオカラニ女王がヴィクトリア女王から下賜されたこのブレスレットもまた、現在も愛されているハワイアンジュエリーの起源だといわれています。
リリウオカラニが身に着けていたことでハワイの人々にも広く知られるようになったこれらのジュエリーは、大衆のなかに広まり受け入れられて変化していくなかでハワイ独自の自然や文化とも融合し、今に続くハワイアンジュエリーの伝統を生み出すこととなりました。
■家宝として受け継がれるハワイアンジュエリー
ハワイアンジュエリーには、家宝として受け継がれるもの、大切な人へと贈るものという側面もあります。
そのルーツもやはり、リリウオカラニにあります。
1893年に、リリウオカラニは宮殿で自分の補佐役として勤めていたイギリス人、ゾイ・アキントンに自身がつくった歌「アロハ・オエ(あなたが愛されますように)」のタイトルを彫ったブレスレットを贈りました。
感謝の気持ちが込められたこのブレスレットは、ゾイ・アキントンが校長を勤めていた女学校の生徒の間でも評判となり、似たようなデザインのブレスレットを身に着ける女生徒が増えました。
しかしその後間もなく、ハワイ王朝はついに崩壊。
ハワイの情勢がにわかに不安定になるなか、女学校の生徒たちは自分の名前が彫られたジュエリーを欲しがるようになり、母親たちはそれに応えて子供たちの名前が刻まれたジュエリーを贈ったとされています。
この出来事が、家宝として、つまり母から娘への贈り物としてハワイアンジュエリーが扱われるようになったきっかけといわれています。
また大切な人への贈り物という側面も、ヴィクトリア女王とリリウオカラニ女王の絆、リリウオカラニ女王とゾイ・アキントンの絆から生まれたものでしょう。
ハワイアンジュエリーは大切な人へ贈る、切実な思いや願い、祈りが強く込められたジュエリーなのです。
■ハワイアンジュエリーのモチーフに込められた意味
ハワイアンジュエリーのモチーフの多くは、ハワイの美しく雄大な自然からインスパイアされたものです。
ゴールドやシルバーに職人が手彫りする数々のモチーフには、それぞれ異なる意味が込められています。
自分で購入するなら自分のマインドや今後の目標を、大切な誰かにプレゼントするなら贈る相手のことを思い浮かべながら、ぴったりのモチーフを探してみましょう。
ハワイアンジュエリーのモチーフは実に多岐に亘りますが、そのなかでも特に代表的なモチーフの持つ意味についてご紹介します。
・プルメリア
ハワイの花というイメージの強いプルメリアは、ハワイでは街中でもよく見かけるとてもポピュラーな花のひとつ。
人々に親しまれ愛されているモチーフです。
愛の象徴であるとされているプリメリアの花のモチーフは、ジュエリーを身に着けている人がもともと持っている本来の魅力を引き出すといわれています。
・マイレリーフ
「マイレ」とは、ハワイ各地の森に自生しているつる性の低木の名前です。
マイレリーフで、「マイレの葉」がモチーフという意味になります。
マイレの木はハワイの伝統には欠かせないもので、結婚式ではマイレのレイを用いることもあります。
神に捧げる植物のうちのひとつともされていて、ハワイの神話にも登場する植物です。
このマイレリーフモチーフのジュエリーは、縁結びの効果があるといわれています。
ハワイの結婚式では、マイレで新郎新婦の手を結び強い絆を表すこともあるのだそう。
絆や縁結びなど、恋愛に関する意味が強く込められたモチーフです。
・スクロール
寄せては返す波を表現するモチーフをスクロールといいます。
いつまでも途切れずに押し寄せることから波は永遠の象徴とされ、「永遠に続く愛」「海から幸せを運ぶ波」などの意味を持ちます。
また時に荒れ狂い試練を与える存在でもあることから、困難を乗り越える力を与えてくれるモチーフでもあります。
・ホヌ(ウミガメ)
ウミガメをハワイの言葉で「ホヌ」といいます。
ハワイではウミガメは神聖な生き物だと言われていて、幸運を運んでくる海の守り神として愛されています。
幸運を招き災いからは身を守ってくれるモチーフとして、ハワイアンジュエリーのデザインとしても人気です。
・フィッシュフック(釣り針)
幸運を釣り上げる、という意味が込められたモチーフです。
また、すでにここにある幸運が逃げていかないようつなぎとめるという意味もあります。
・シェル(貝殻)
貝殻は、数多くの国で貨幣として使われてきた歴史を持つモチーフです。
そのことから金運を象徴するとされているほか、閉じた貝は未知の才能を秘めているという意味のシンボル、転じて「才能を開花させる」という意味も持つようになりました。
・コーラル(サンゴ)
海が生み出す宝石ともいわれるサンゴには、海の持つパワーが宿るとされています。
航海や家庭で起こる災難を避けるほか、特に女性のお守りとして人気のモチーフです。
・ホエールテイル
クジラのしっぽは、海に囲まれたハワイであってもめったに見ることのできないもの。
転じて、幸運を象徴するシンボルとなりました。
幸運のお守りになるハワイアンジュエリーをお探しの方におすすめのモチーフです。
・ヤシの木
南国らしさ満点のヤシの木は、ハワイの人々の暮らしに欠かせない植物です。
花や実のみならず幹の部分まですべて使えるヤシの木は家族を守る象徴として、守護のお守りや家族愛を表現するモチーフとされています。
・プリンセス
ハワイの自然ではなく、ハワイ王国のカイウラニ王女にインスパイアされたプリンセスモチーフのハワイアンジュエリーもあります。
カイウラニ王女はハワイ王国最後の女王であるリリウオカラニの姪にあたる人物です。
ハワイ王国が崩壊した頃、カイウラニ王女はイギリスに留学している最中でした。
将来ハワイ王国の立派な女王となることを目指しイギリスの教育を受けていたのです。
リリウオカラニ女王が囚われの身になってしまったことを知ったカイウラニ王女はすぐさまアメリカへ飛び、ニューヨークやボストン、ワシントンDCなどの各都市でハワイ王国の復興を訴えました。
カイウラニ王女の訴えを受けてアメリカはハワイ王国の復興に協力はしましたが実現はできず、1898年には準州としてアメリカの支配下に置かれることになりました。
ハワイ王国の王政復古の夢は叶うことはありませんでしたが、ハワイ王国と民衆のために17歳の若さで立ち上がった王国最後のプリンセスは人々に愛される存在でした。
王国とハワイの人々への深い愛情、そして未来への希望に満ちた姿は、愛や希望の込められたハワイアンジュエリーのモチーフとして人気を集めています。
■身に着ける場所によっても効果が変わるハワイアンジュエリー
さまざまな意味の込められたモチーフがデザインされており幅広いバリエーションを持つハワイアンジュエリーですが、身に着ける場所によっても効果が変化するとされています。
・耳
イヤリングやピアスなど、耳につけるタイプのハワイアンジュエリーには情報がいち早く耳に入るようになるという効果があるとされています。
幸運のお守りとされるモチーフのジュエリーを耳元に添えれば、耳よりの情報が飛び込んでくるかもしれません。
片方の耳につける場合、左耳は勇気や誇り、右耳は優しさを象徴するとのこと。
・首
ネックレスなど首につけるジュエリーは、ペンダントトップが胸元近くにくるため、心理的効果を持つモチーフがあしらわれているものがおすすめです。
感情に影響するスピリチュアルなアイテムは、心臓近くに位置するよう取り入れると高い効果があるといわれているのです。
・手首
ブレスレットは、右の手首につければ仕事運や金運、左手首なら恋愛運や健康にいい影響があるとされています。
ハワイアンジュエリーのブレスレットを購入するなら、身に着ける手首も左右どちらかあらかじめ決めておき、相乗効果が期待できるモチーフを選ぶといいでしょう。
・指
指は左右5本それぞれが異なる意味や効果を象徴しています。
ハワイアンジュエリーのモチーフが象徴する意味と相乗効果があるよう、左右どちらの指にどんなモチーフのリングをつけるか考えながら選ぶのがおすすめです。
親指用のサムリングと小指用のピンキーリングは、サイズの関係から特に使いまわしが難しいリングなので注意が必要。
親指は、右はリーダーシップを発揮し指導者としての成功をもたらすとされ、左は信念や目的の達成を象徴しています。
小指の場合は右が魅力や個性を象徴していて、表現力を豊かにしてくれるとされており、左はチャンスを引き寄せ願いを叶える力を持つとされています。
それぞれの効果を邪魔せず、むしろ効果や祈りが増幅されるようなモチーフを選びたいですね。
■深い歴史とルーツを持つハワイアンジュエリーの世界
イギリスで流行したヴィクトリアン・モーニング・ジュエリーにルーツを持つハワイアンジュエリーは、ハワイ独自の自然や文化、伝統と融合し唯一無二の世界観をつくりあげたジュエリーです。
ハワイアンジュエリーに込められた思いや祈り、そしてさまざまなモチーフが象徴する意味に触れれば、ハワイの文化や歴史にまで思いを馳せることができるでしょう。
ハワイアンジュエリーはファッションアイテムとして優れているだけではなく、人々の願いや祈りを乗せたお守りとしても愛されています。
自分のお守りとして、大切な人への贈り物として、そして大切な人とお揃いのペアアイテムとして、ただ美しいだけではないジュエリーをお探しの方はぜひハワイアンジュエリーをチェックしてみてください。